2007年 04月 28日
美唄我路地区、番外篇
「諸行無常」ariariさんからいただいたコメントに触発されまして、ちとつらつらと。

【破れた柱】
  D70, Ai AF Nikkor 35mm F2D  [35.00(52)mm, 1/3200s, F2.5, EV-1.0, ISO200]
c0084666_14262676.jpg


廃系、中でも廃屋系に向かうとき、
「辛さ」が感情として迫ってきてしまうと、もうすくんじゃって、手も足も出ません。昨年末に夕張を回ったときも、その辛さがあまりに厳しくて、一度もシャッター押せずに帰ってきました。

今回、我路の集落で「辛さ」がなかったのかといえば...

ほとんど予備知識なしで訪れたんで、感情移入がリミット以上に深まらなかったことが大きいんでしょう、すくみ上がるような辛さは感じずに済みました。

もうひとつ、柔らかく陽射しが回ってきた、てこともあります。陽射しが辛さをくるみこんでくれたんですね、オブラートみたいに。
この陽射しは、「諸行無常」をモノクロにしなかった理由の一つでもあります。カラーの方が、あのぬくもりは表現しやすかったんで(特に【斜陽】)。


【吹き抜ける】
  D70, Ai AF Nikkor 35mm F2D  [35.00(52)mm, 1/200s, F5.6, EV-0.7, ISO200]
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「辛さ」はクリアしたとして、もっと根っこの問題があります。
  「撮ってもいいものか」
  「<私が>撮ってもいいものか」
っていう二つ。

そもそもなぜ撮るかといえば、
廃系のモノたちが抱え込んでいる歴史なり記憶なりに惹かれて、てところでしょう。
けれど以前の所有者、たとえばその廃屋に以前住んでらした方からすれば、その歴史も記憶も、ほじくり返されたくないものかもしれません。

それをわざわざ撮ることに、それだけの意味があるのか。
あるいは私自身が、その種の撮影に意味づけができるほど、モノの見える人間なのか。

これはもう...yes、というより、yesといえるだけのオノレであろうとしている、としかいえません。倫理・資質の両面で、間違っても視線が上滑りにならないよう、日々精進...のみ、じゃないかと。


【虚ろな目】
  D70, Ai AF Nikkor 35mm F2D  [35.00(52)mm, 1/5000s, F2.5, EV-1.0, ISO200]
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そんなこんなの問題は丸抱えのままで、
とりあえず廃系へのアプローチを考えた場合、典型的なのは...

1. ルポルタージュ風
2. ノスタルジー寄り
3. 抽象オブジェ扱い

ってところでしょうか。かなりステレオタイプではありますけども。

で、たぶんこれ、
1番から3番に向かうほど、撮るにせよ見るにせよ、問題の度合いが少なくなるんじゃないかと思うんです。抽象化が進むほどモノの出自からは遠くなっていくわけで、歴史にしろ記憶にしろ、生々しさは減るでしょう。

前回の「諸行無常」は、1番と2番の中間的なところを狙ってます。美唄我路地区の今を伝える組写真としての路線は、たしかに意識してました。

一方で今日の三枚は、かなり3番に近いアプローチで...ことさら美唄である必要もない、ような扱いをしてます。モノクロにしたのもその一手ですし、場所を特定しにくいように素材や処理を選んでます。

どのアプローチで行くのか、自分をどの立場に置くのか、それもこれもケースバイケースですが...出来得ればそこらあたりからして、見誤らないでいたいものであるなぁと、
そんなことも含めてやっぱり、日々精進、ってことで。


 気がつけば話の発端からはずいぶんと脱線しまして、勝手な独り言をくだくだと...
 ほんとのところは、三枚目の【虚ろな目】を作ってみたら意外と気に入ったんで、まともにネタにしたくなったってだけだったりします。ここんとこちょっと語り衝動が強くなってまして、いやいやどうも失礼いたしました。
 本篇、宮島沼最終ラウンドに続きます...
by atCommA | 2007-04-28 14:47 | 撮りメモ:Town | Comments(8)
Commented by ariari at 2007-04-29 03:53 x
CommAさん、リクエストしちゃったみたいでスミマセン(笑)。
何だかかえって悩ませてしまったかなあと思いました。個人的にはCommAさんが切り取るのに「撮ってもいいものか」なんて思う必要はないと思います。そう、こういう場合私は抽象的に撮影することで客観的に腰が引ける事が多いんです。というか、結果そうなっちゃう(^^;
単純に記録として残さなくちゃ、なんて私がする必要はないんだけど自分の視点が善意の第三者であればいいや、と割り切ることが多いんです。
自分の想いを乗せちゃってとても人には見せることができないものは時間を置いて発表したり、けっこうズルイです<ワシ
この一連のものは一度プリントで拝見したいですね。WEBじゃなく、何枚もの写真をどーーーん、と見たいと思いました。
写真展でもやりましょか?(^^
Commented by 小樽ではたらく本部長 at 2007-04-29 07:26 x
CommAさん、この画と文章読んだら、我路地区、出せなくなります(^。^;)
CommAさんの写真に対する姿勢、学ばせていただきます。

【虚ろな目】、このライトからの視点なんて、その場で全然、思いつきもしませんでした...
Commented by atCommA at 2007-04-29 21:17
>ariariさん
 こちらこそ、お呼び立てしたみたいですいませんです(^^;
 常日頃つらつら考えてることなんで、新しく悩んだことはなんにもないです、そこはご心配なく(^^)
 "善意の第三者"、おっしゃるとおりで...そこもなんとか、タイトルやキャプションに頼らず、写真に込めることは出来ないもんだろうかなんて考えてまして...むーずかし。
 ん、時間を置いてってのはひとつの手段ですね...2001/09/21は参考になりました、ありがとうございます(^^)

 さぁてプリント。これがまた大問題でして...ろくにプリントしたことないんですよ、四半世紀前はやってましたけどもぉ...その件はずーっと積み残しにしてるんですわ(^^;
Commented by atCommA at 2007-04-29 21:19
>本部長さん
 しっかり拝見しましたよー(^^)
 私の繰言なんざ所詮独り言ですし...それにこういうのって、机上や頭の中でこねくり回しててもダメで、実作をこなしながらフィードバックしてくべきものじゃないかと思ってます。なので、どんどん撮って出しませう(^^)

 ライトは...呼ばれましたです。
Commented by mn3m at 2007-04-29 21:27
CommAさん こんばんは
ちょっと仕事やら風邪やらでコメントする気力が出てこず,今になってしまいました。
改めてCommAさんの写真に対する真摯な態度に敬服いたしましたm(__)m  自分などは安易に撮りすぎているのでは無いかと,ちと反省する必要がありそうです。
 廃屋系は自分も最近撮るのですが,東京の場合は「いずれ取り壊され,そこに新しいビルや家が建つ」という気持ちが有るからでしょうか,あまり辛さを感じずに済んでおります。 夕張や我路のように街全体が寂れてゆくのとはやはり向かったときの感情が違います。 

それにしても,この3枚は自分にとっては衝撃的でした。 特に2枚目,3枚目。 2枚目を撮れたCommAさんに畏怖すら感じますよ。ここまで真っ向からこの被写体に迎えるというのがスゴイです。
 3枚目の目もスゴイ。 そこに済んでいた人たちの恨み声が聞こえてきそうな気がしました。  

こういうのは見る方も真剣になります。 撮る価値は十分に有ると思います。
Commented by atCommA at 2007-04-30 04:18
>mnさん
 お疲れさまです...長々の繰り言にお付き合いいただいてありがとうございます。
 私が真摯でmnさんが安易なんて、そんなことはぜーったいにありませんです...こういうの、皆さん考えてらっしゃると思うんですよね、あんまり野暮ったいことはいちいちおっしゃらないだけのことで。
 東京の場合まったく意味合いが違うのは、よくわかります。まぁそれでも共通するところはあるだろうし、そもそも廃系に限ったことでもないので...要は、向き合う以上姿勢も考えちゃいますよねってことで。

 写真については、二枚目はちょっと特殊事情です。この文章にはめ込むためにあえて硬調にしてまして、元画はもっとずっと穏やかなんです。窓に"電話料金"云々らしきシールが残ってまして、どうやら電話局だったらしい...というあたりを飛ばして無個性にしたかったのでこういう仕上げになってまして、この写真の印象ほど切羽詰まった現場でもないです。
 三枚目はまた違って、これは単体で自分が納得いくように仕上げました。これはいささかお気に入りではあります。

 最後の一行...ありがとうございます(m__m)
Commented by mab at 2007-05-01 06:34 x
なるほど・・
被写体に向かう時の、CommAさんの姿勢が、そして葛藤がすんごく伝わってきます。
そういう気持ちを私も忘れたくないな、と思いやした。
2枚目。
悲しいけど、イイ。
美唄という土地柄だけに考えさせられますよね。
Commented by atCommA at 2007-05-01 18:24
>mabさん
 どもです(m__m) いやまぁ、簡単にいってしまえば...
 「遊びでもまじにやらんとなぁ」
 この一言ですむ話なんですけどね(^^;

 今の北海道に住むこと、やっぱりいろいろ考えちゃいますわ。
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