2006年 08月 27日
リサイズ II <願わくは我らに無限のキャンバスを>
さて昨日は、

・デジタルデータの(拡大)/縮小は計算で作られるもので、
・その計算法にいろいろあって、
・結果の画質がたしかに違う、

という話でした。ニアレストネイバー法、きれいじゃなかったですね。バイリニア法かバイキュービック法、特に写真をリサイズするなら、たいていバイキュービック法が使われているようだ、と。

とはいえ、実際に我々が写真を加工するとき、計算法の違いを意識する必要はほとんどありません。第一、たとえばNikon Captureでは、計算方法を選べません(もしも選べたならごめんなさい)。
計算法を選択できるPhotoshop CS でもバイキュービック法がデフォルトだったように、まぁたいていの画像処理ソフトでは、バイキュービック(もしくはその親戚)が使われていることでしょう。


画像処理ソフトでは、です。


問題になるかなぁと思うのは、画像閲覧ソフト(以下、ビューア)で表示した場合でして...
またサンプルをご覧いただきたいんですが、

私が常用しているビューアでの縮小表示の様子を、HyperSnapDXでキャプチャしたものです。
No.3が、Irfanviewでの表示、
No.4は、DPEXでの表示。
1050x698ピクセルのJPEGファイルを、それぞれのビューア上で約50%に縮小しています。


【リサイズサンプル No.3 :Irfanview】
リサイズ II <願わくは我らに無限のキャンバスを>_c0084666_118359.jpg


【リサイズサンプル No.4 :DPEX】
リサイズ II <願わくは我らに無限のキャンバスを>_c0084666_1191271.jpg


荒さはどちらも似たようなもの...よく見ると、多少なりとも傾向が違いますが...文字の描写なんかは、Irfanviewの方がやや良質かなと思います...
が、どちらにせよ、荒くてかなわんです。電線なんてもはや、繋がってません。


一方、

【リサイズサンプル No.5 :Nikon Capture】
リサイズ II <願わくは我らに無限のキャンバスを>_c0084666_1194523.jpg

同じJPEGファイルを、NCで普通にリサイズしたものがこちら。単なる表示ではなくて、私らが普通にWebなんかでやりとりしているのは、こういった処理のものです。
3や4に比べると、まぁ圧倒的にまとも、ですよね。電線への干渉縞はありますが、文字や信号機周り、葉の描写など、はるかにましです。
すべてのビューアがこういう描写ならいいんですけれども...というより、なぜNo.3やNo.4みたいな事態になるか、ということですが。
ちと長くなるので、続きはご興味ある方...ぽちっとしてくださいませ。






冒頭のおさらいのとおり、
計算方法はいろいろある...
これはほんとにいろいろでして、昨日出てきた三種(ニアレストネイバー、バイリニア、バイキュービック)が基本ではありますけれども、
発展型だの中間型だのが、いろいろと存在するようです。
それぞれに処理の速さや結果の画質に違いがあるわけで、どの方法を採用するか(あるいは新しくルーチンを起こすか)というのは、アプリケーションを作る側のさじ加減によります。
ごく大雑把にいえば、結果がきれいな処理というのは計算が複雑で、そのぶん時間がかかるわけで。

画像処理ソフトでニアレストネイバーしか使えないなんてのは論外でしょうけれども、
ビューアとなると...動きの軽さを優先するというベクトルも出てくる、その結果、
縮小表示の画質が最優先というわけでもない...場合があり得るわけです。


No.3とNo.4では、世の中で有名なフリー/シェアウェアの例を見ていただいたわけですけれども、


【リサイズサンプル No.6 :Nikon View】
リサイズ II <願わくは我らに無限のキャンバスを>_c0084666_11101654.jpg

Nikon Viewでの表示結果。条件はNo.3/4と同じです。
純粋なビューアかどうか微妙かもしれませんが、やはりまともな描写を見せてくれています。基本的には、Nikon Captureと同じ処理でしょうしね。ただ若干、甘くなる傾向があるようにも見えます。


結局のところ、程度の差はあれ...ビューア上で縮小して観るというのは、なにがしか画質を荒らすものだ、と。冒頭おさらいのとおり、縮小のためには少なくとも(余計な)計算が入るわけで、まぁ悪くはなっても良くはならんでしょう、ということです。


たとえばWebに上がった写真をローカルに(ハードディスクに)保存して観る場合、この縮小の問題が出てきます。
要するに、使っているディスプレイのサイズより大きい写真は、結局縮小して観ることになるわけです(今回は、写真全体を一目で見渡すスタイルの場合に限っております)。

そのとき、どんなビューアを使うか...そもそも、「縮小がかかっている」ことをどれだけ意識できるか...

私にしても、よほど元ファイルが大きければ否応なく気づきますが(動きが重くなりますから)、微妙に大きいだけというような場合、ビューアの自動縮小がかかっていることに気づかなかったりも、します。なんっか画が荒いなぁと思ってよく見たら、実は80%に縮小されていた、てなことが時折。

自分の写真は、加工時に処理ソフトでちゃんと観てますからいいとして...他人様の写真を観るとき、知らずのうちに縮小された荒いものを観ていた、なんてことはないようにしたいなぁ、と。
また、アップするときにも...半端に大きいと閲覧者が勝手に縮小画像を見ちゃって、かえって意図に反する画質に観られてしまうこともあり得る。

そういう心構えをしっかり据えるにおいて、リサイズ方法の話なんてのも、裏づけとしてもっておくのは悪くないんじゃないかなぁ、
ということでございました。



まだもう一回くらいこのシリーズが続くらしいんですがそれはともかく、

サンプルに使った提灯信号の写真は、走行中の車からのカットです。なんとなくいい天気だったので、空気の切れ具合を確かめてみようかなくらいのパイロットカットなので...
ジャギーとモアレの巣窟なので今回のサンプルとしては好適と思って使いましたが、これで終わるのはどうも切れがよろしくありませんので、
あのカットのすぐあとに撮影したものを。

【過ぎる方を見つめてみる】
リサイズ II <願わくは我らに無限のキャンバスを>_c0084666_1111998.jpg

百日紅の花の彩度は、かなり落としてます。でないとベタ塗りになっちゃって。これも車からの撮りですが、やっぱり組みにくいですね余裕がなくて。



...それにつけても、
おっきなディスプレイ、それも縦型にできるヤツ、欲しいですなぁ...
by atCommA | 2006-08-27 11:19 | 光画部的戯言 | Comments(0)
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